至彼岸
お彼岸の日に見たのは夫が生き返り私たちとふつうの生活をしている夢だった
つい半年前のように、家族で車でホームセンターに夫の運転で出掛けた
出勤しようとしていた夫に「もう退職手続きしちゃったから会社に電話してから出勤した方がいいよ」と伝えた
2〜4回目の時の夢のような闘病中の夫ではなく、元気な頃のふつうの夫だった
それがやけにリアルで、目が覚めても夫は生き返ったんだとしばらく思えていた程だった(混乱)
今日は、一年前に夫が行きたがっていたけどコロナで行くことが出来なかった映画鬼滅の刃無限列車編を観た
いのすけの、死んだ者は生き返らない、が胸にきた
大事な人を亡くした事がある全ての人に鬼滅は響くんじゃないかな、って思う
今日は夫が闘病中処方されてたイノラスっていう栄養液パウチ(プロテインみたいなやつ)を飲んでみた。500mlで300カロリーだったと思う。塩っぱくて、甘くて味が濃くて飲めなかった…頑張ったけど。夫は辛かったろうな。割と美食舌だったから。
夫が生き返るリアルな夢を見たのは亡くなってから5ヶ月程経ったお彼岸の日。
リビングに降りると「やっぱり、そんな訳ないよね」って現実が待っていたけど、夫からのプレゼントだと思って今朝の「いつも通りの幸せ」を噛み締めて大事にしたいと思います。
最期をちゃんと迎えてあげられなかったことにずっと後悔していた。けど、大事な家族の不安定な時に希望を持ち続けてしまうのは仕方がない事だったのかもしれないと思えるようになった。
自分の行動にずっと後悔していたけど、家族の為に希望を捨てずに動き回るのは誰かがやらなきゃいけなかったし、必要な手続きをしないでただ側にいるのは、ある種諦めなければ出来ないことだと…煉獄さんの遺言シーンを観ていて思った。
医者に「残りの時間を大切に」と言われてからもまだ2,3年あると思っていた、まだ夫も自力で通院出来ていたし
医者に「呼吸が弱い」と呼ばれた退院の前日も、あと少しでうちに一緒に帰れると思っていた
看護師に「酸素マシンの値が上がってきている」介護タクシーに「その酸素濃度が必要だと家まで間に合わない」と言われても夫に限ってそんな筈はないと信じていた
私は常に無駄に前向きだった…
もっと後ろ向きだったらもっと心の準備出来ていたのかもしれないとか、自分も運命も医者も神様も呪った
病気でいっぱいっぱいだった夫
子育てと闘病中の夫と暮らす事でいっぱいいっぱいだった私
出会って5年、結婚して内4年、子育て内3年、闘病生活を共にして内2年…
結納、結婚式、新婚旅行、出産、子育て、持ち分譲マンションから新居戸建てへ買替え、車を購入、一緒に保険や株の勉強、闘病生活、お葬式…一言では言い表せられない程色々やったし、きっと私たちは精一杯出来る限りをやってきたと思う
一生分大人を味わった5年間だった
どんなにクールな一面を持つ同士だったとしても、私は夫が運命の相手だったと思う
最期の夫への誕生日プレゼントの暖かい服はよく着ていてくれた
最期の私への誕生日プレゼントは人生で一番嬉しい物だった
私の心臓と貴方の心臓を重ねて一人分になるんだと、今でも思っているよ。